建物や機械といった固定資産は、長期利用を前提で購入しますが、その価値は、時間の経過や使用により減少していきます。
この減少した価値を「費用」として計上するのが、減価償却費です。
例えば、営業用に自動車を100万円で購入し、5年間使う時を考えてみましょう。
購入した最初の年度に100万円全額を経費とするのは正しいでしょうか?
5年間使うのに、その後の4年間は全く経費にならないというのは、誰が考えてもおかしいです。
そのため、購入にかかった支払額を、5年間で少しずつならして経費計上していくのです。
減価償却費の計算をする際、固定資産を使う期間(使用可能年数)を知る必要があります。
先程の例で言うと、「5年間使う」という部分です。
これを耐用年数と言います。
耐用年数は、財務省令で、固定資産の種類毎に細かく定められています。
減価償却費の計算方法は、大きく分けて2種類あります。
固定資産の購入代金を、耐用年数の期間、毎年均等に経費計上する方法です。
取得価額 ÷ 耐用年数 = 減価償却費
未償却の金額から一定の割合で経費計上する方法です。
定率法での減価償却は、最初の方が大きく、後にいくにしたがって小さくなります。
(取得価額 - 減価償却累計額)× 償却率 = 減価償却費
固定資産は、当然、購入した際に時にお金を支払います。
翌年以降は現金支出がありませんが、減価償却分は経費として計上されていくので、一瞬、収益が増えたような錯覚を起こします。
しかし、現金が減らないからといって、儲かっている訳ではありません。
お金を支払う時期と、経費計上している時期がずれているだけで、トータルでは支出している事に違いないのです。
このように、減価償却費は、当期のキャッシュフローを考える上で重要な意味を持つ勘定科目です。
また、購入した年度の経費を出来るだけ多くしたいと考えた場合、減価償却費を使わず、消耗品費で処理するという方法もあります。
1件10万円までの少額の固定資産は、消耗品として経費計上できます。
中小企業の場合は、1件30万円、総額300万円までOKです。
例えば、3万円で事務用机を購入した時など、少額の固定資産は消耗品とする事で、全額を当期の経費とする事ができます。
固定資産であっても、時間が経っても劣化していかない物は、減価償却できません。
その代表が、土地です。
土地は、時間の経過によって価値が下がる事はありません。
購入時と売却時、同等の価値で考える事が出来る為、減価償却できません。
減価償却はあくまでも、時間の経過によって価値が減少する分を費用として計上する事です。