教育研修費とは、その名の通り、従業員や役員の教育や研修の為に支出した費用です。
ただし、業務に必要なものに限ります。
業務に全く関係の無いものは、そもそも経費に出来ないのでダメです。
試験研究費と同じく「機能的分類」の勘定科目です。
例えば、セミナーの参加費、講師への謝礼金、研修に使う会場費や交通費など、他の勘定科目でも処理する事が出来ますが、教育研修に関わる費用であれば、全て教育研修費で処理する事が出来ます。
税額控除の制度には、その要件の中に教育研修費が含まれる事例が多くあります。
例えば、教育研修費が一定額以上あったり、前年より増えたりした時に、法人税や所得税を安くするよ、という税制が頻繁に発令されているのです。
また、おまけ的要素として、教育研修費が絡んでくる事もあります。
例として、令和4年度税制改正大綱に掲載されていた「賃上げ促進税制」を見てみましょう。
これは、簡単に言えば、「従業員の給与を一定以上増やしたら、税金を安くしてあげるよ」という制度です。
でも、これだけではありません。
「教育研修費が一定以上増えれば、更に税金を安くするよ」という追加要件が付いていました。
このように、一見関係なさそうな税制にも、教育研修費は絡んでくるのです。
例えば、教育研修費を使わずに、セミナーの受講費用を「福利厚生費」、研修に使用するテキスト代を「図書費」等で処理したとします。
どのみち「販売費及び一般管理費」として処理されるので、これでも問題はありません。
しかし、これでは「教育研修費が前年よりどれだけ増えているのか」が、パッと分かりません。
後からセミナーに関係するものを探し出し集計するのは、手間もかかるしとても大変です。
前述の通り、教育研究費は税額控除に大きく関わるので、その額がすぐに分かるよう、まとめておく事がとても大切です。
ちなみに、当事務所では「教育研修費」という名前を使っていますが、「教育訓練費」「研修費」などと呼ばれる事もあります。
呼び方が少し違うだけで、中身は同じです。
このように、勘定科目には、同じ性質のものでも名前が違っている時があります。
どれ選択しても構いませんが、前年と同じ名称を使って処理した方が、推移を比べやすいです。