節税するなら、あらゆる場面において「適正な処理」をする事が大切です。
しかし、適正な処理を怠ったり、気付かずに放置してしまっても、決算は組めてしまいます。
納税さえしていれば、法律上の問題はありませんが…
本来払うべき金額以上の納税を続ければ、会社はどんどん損をしてしまいます。
売上に関する処理を例に、考えてみましょう。
2020年現在、会社は、売上に対して約30%の法人税を支払います。
簡単に言うと、100円の売上に対し、30円程の法人税を支払うのです。
しかし、売上を立てたものの、お金が入って来ないというケースは多々あります。
まず、売上と入金の時期が、決算をまたいでしまった場合です。
12月決算の会社で、2019年12月に100円の商品を発送し、翌2020年1月に入金があったとします。
商品を発送した12月に売上を立てる場合と、入金のあった1月に売上を立てる場合で、法人税30円を支払う時期が変わります。
2019年に売上を立てると、入金はまだなのに、法人税の支払い義務は先に生じるのです。
この1件だけ見れば、どちらの期に売上を立てても大差ないと感じるかもしれませんが、1年を通して総合的に考えた時、税金額が大きく変わる可能性があります。
そのため、全体を見極め、適正に処理する必要があります。
また、時として、踏み倒されてしまう場合(貸倒損失)もあります。
商品を発送したのに、相手先が倒産してしまい、入金してもらえなかった時などです。
売上を立ててしまうと、入金がなくても、法人税を支払う義務が生じます。
一度立てた売上は基本的にキャンセル出来ないし、経費にして相殺する事も難しいので、税金を簡単にゼロにする事は出来ません。
入金ゼロなのに、税金だけを支払う事になるのは大損なので、適正に処理する必要があります。
このような状況を放置してしまうことを、「節税が出来ていない」と言います。
考える事を放棄してしまった瞬間、節税はできなくなるでしょう。